秋介 藤岡

2021年6月26日5 分

今よりもう一段強くなりたい人へ

どうも、皆さんこんにちは。

武刀会OBのガチ岡さんこと藤岡です。

今回は「今よりもう一段強くなりたい人へ」というテーマについて語らせてもらいます。

これからもっと強くなりたいという方でためになりそうな部分があればぜひ参考にしてください。

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『どうやったらもっと強くなれますか?』

突然ですが、こういった質問を先輩やOBにした経験がある方は多いのではないでしょうか?

ありがたいことに、私自身もこういった質問を受ける機会は非常に多いです。

もちろん細かい課題は選手各々で異なりますが、やはり一番手っ取り早い方法は「強い選手の動画を見て真似をする」というものだと思います。

実際に私も後輩にそう言って指導したことは過去に何度もあります。

(その指導の結果、誕生した選手が内藤洋平理事と五島優君です……)

過去の選手が積み上げてきた技術を真似することは強くなるために効率が良い方法であることは間違いないでしょう。しかし、意外と悩む方が多いのがその次のステップです。

――強い選手の真似がある程度できるようになったとして、その次は何をすればいいのか?

個人的には特に大学2年生の後半あたりでこの悩みに突入する選手が多い印象を受けます。

そんな疑問に対して、

『その選手の真似をしているだけではその選手の劣化版でしないので、誰かの真似ができるようになったら、次は自分だけの(完全にオリジナルの)スタイルを身につけていく必要がある』

と、このようなアドバイスを耳にすることがあります。

まあ賛否両論ありそうな考え方ですが、とはいえ、この考え方そのものは私も正しいと思います。

しかしその一方で、これはとても勘違いしやすい考え方だなと感じるのも事実です。

――そもそも「自分だけのスタイル」とは何なのか。

個人的にはこの点を勘違いしている選手はとても多いと感じます。

一般的に「自分だけのスタイル」というと、「世界中で自分にしかできないような唯一無二のフォームや技」といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか?

ただ、残念なお知らせをすると、私が知る限りでは(誰の真似でもない)自分だけにしかできないフォームや技を持っている選手は、世界中のスポチャン選手を見渡してもほぼいません。

近年の世界チャンピオンを見てもそんな選手は原科太一選手とマクシミリアン選手(ロシア)のこの2人くらいだと思います。

自分にしかできない特別なフォームや技を持っている選手など世界中のスポチャン選手の中でもほんの一握りですので、正直、スポチャンを始めて数年の選手がそれを考案しようとするのはかなりハードルが高いように感じます。

――では、自分だけのスタイルを身に付けるにはどうすればよいのか。

個人的には、「オリジナルの選手(真似をしてきた対象の選手)が持っていない技などを新たに身につける」ということが効率の良い方法だと思います。

つまり、これまで真似をしてきた選手のスタイルをベースにしつつも、それに加えて、その選手にはない、別の選手の技やスタイルを新たに取り入れること。これが次のステップだと思います。

ここで重要なことは、「新たに身に付ける技は既存の技(ほかの選手がすでに使っている技)でもよい」という点です。

例えば、私の知っている選手に武井裕哉君という後輩がいます。

彼は人としては難があるものの、皆さんも知っての通り、スポチャン選手としては非常に優れた選手です。何しろ出小手主体の今のスポーツチャンバラの流れを作った偉大な選手ですから、彼の真似をしたことがある方も多いと思います。

しかし、仮にその武井君のスタイルをそのまま踏襲するだけでは最近流行りのそこそこ出小手が打てる選手で止まってしまう確率が高いでしょう。なぜなら大抵の選手は武井君ほど上手くあのスタイルで戦うことができないからです。

そのため、最初は武井君のスタイルを参考にしつつ、ある程度方向性が固まってきたなら、今度は武井君にない技を模索する必要があります。

もちろん、さすがの武井君も完全無欠な選手というわけではありませんから、人間性以外にも彼に不足している要素は必ずあります。

例えば、連打はどうでしょうか?

武井君はどうしても出小手に注目されがちですが、個人的には世間の評価に反して実はとてもバランスのとれた総合力の高い選手だと思っています。

しかし、その一方で彼の攻撃は比較的単発であることが多いです。

そのため、武井君のスタイルは踏襲しつつ、例えば近藤寛徒選手など連打に優れた選手の技を取り入れていくと、彼らとは全く異なる「自分だけのスタイル」が見えてくると思います。

もちろんこれはあくまで一例です。

例えば、これが連打ではなく、長谷川雅選手のようにガードに比重を置くこともありだと思いますし、身長が高ければ矢倉士選手のような打ち方もできるでしょう。

または武井君とは異なる出小手の打ち方をする小山雅史選手などの出小手を取り入れてみるのも面白いかもしれません。組み合わせは無限にあります。

ここで重要なことは、この中に出てくる技は既存のものばかりで、自分でゼロから作ったオリジナルな技やスタイルは1つも出てこないということです。

『オリジナルなスタイルや技などなくてもオリジナルな選手にはなれる』

この点をきちんと理解しておくことは強くなる上で非常に大事なことです。

この点を履き違えてしまうと、道場生や上級生に勝てるようになりたいものの、何から手をつけてよいのかわからないという大学2年生から3年生特有の悩みが発生します。

貴重な大学時代を悩んで過ごすのは非常にもったいないです。

残念ながらほとんどの場合、ゼロからオリジナルの技を考案できるような選手は特殊な才能に恵まれているごく一部だけです。

ただ、スポーツチャンバラという競技は決して才能だけで勝敗が決まるものではありません。

皆さんもぜひ自分に合った技やスタイルを上手く踏襲して自分だけのスタイルを確立してください。

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